ソルボサーマル法によるトリクロロエチレンの脱塩素化分解

有害有機塩素化合物の一つであるトリクロロエチレン (TCE) は地下水汚染の発生源の一つであり, その除去方法や分解方法については様々な研究がなされている。ここではTCEを脱塩素化し無害化する新規の化学処理法として, アルカリ水溶液と非水系のアルカリメタノールを溶媒とする脱塩素化方法を比較し, 両者の方法の特徴について述べる。アルカリ水溶液を加熱溶媒とするアルカリ水熱法では, TCE濃度が約42, 000mg/Lまでならアルカリの添加量を脱塩素に必要な理論化学当量の2.0倍以上にして反応温度523K, 反応時間数分で, TCEを100%脱塩素化することが可能であった。しかし, 付着性の強い重縮...

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Published in廃棄物学会論文誌 Vol. 15; no. 5; pp. 363 - 371
Main Authors 池田, 博史, 浦上, 昌也, 笹辺, 慶, 宮本, 佳紀, 山崎, 仲道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 廃棄物資源循環学会 2004
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Summary:有害有機塩素化合物の一つであるトリクロロエチレン (TCE) は地下水汚染の発生源の一つであり, その除去方法や分解方法については様々な研究がなされている。ここではTCEを脱塩素化し無害化する新規の化学処理法として, アルカリ水溶液と非水系のアルカリメタノールを溶媒とする脱塩素化方法を比較し, 両者の方法の特徴について述べる。アルカリ水溶液を加熱溶媒とするアルカリ水熱法では, TCE濃度が約42, 000mg/Lまでならアルカリの添加量を脱塩素に必要な理論化学当量の2.0倍以上にして反応温度523K, 反応時間数分で, TCEを100%脱塩素化することが可能であった。しかし, 付着性の強い重縮合物の生成や, 溶媒であるアルカリ水溶液に解離した大部分の塩化物がイオンの状態で存在するため, 2次的な排水処理が必要となる。 一方, アルカリメタノールを加熱溶媒とした場合, TCE濃度約82, 000mg/Lという高濃度でも反応温度523Kにて15mg/Lの反応時間で脱塩素化が可能であり, 解離した塩素は溶媒に難溶である塩として沈殿するため, 固液分離することで溶媒の再利用が可能となるプロセスが構築できる。
ISSN:1883-1648
1883-163X
DOI:10.3985/jswme.15.363