Systemic lups erythematosus (SLE)由来の腎不全患者の血液透析-透析開始時期を中心に

Lupus腎炎由来の腎不全患者の血液透析(HD)にかんする報告はまだ乏しく,とくにその適応にかんしてはCoplonら(1973年)の論文が唯一のものである.われわれは諸施設の御好意により自験6例を含む25例のHD施行SLE患者の資料を得ることが出来たので,とくにHD開始時期を中心に検討した. HD開始時の血清creatinine (S-Cr)は2.6~13.2mg/dl平均7.4mg/dl尿素窒素は54~216mg/dl平均101mg/dlでcreatinine clearanceは平均6ml/mであり,臨床的には溢水例が多かつた.免疫血清学的には抗核抗体, LE細胞の陽性例が大半で,従つてH...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 471 - 477
Main Authors 垂水, 禧直, 原, 郁夫, 村上, 幹郎, 倉田, 典之, 宮脇, 昌二, 大藤, 真
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1976
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Summary:Lupus腎炎由来の腎不全患者の血液透析(HD)にかんする報告はまだ乏しく,とくにその適応にかんしてはCoplonら(1973年)の論文が唯一のものである.われわれは諸施設の御好意により自験6例を含む25例のHD施行SLE患者の資料を得ることが出来たので,とくにHD開始時期を中心に検討した. HD開始時の血清creatinine (S-Cr)は2.6~13.2mg/dl平均7.4mg/dl尿素窒素は54~216mg/dl平均101mg/dlでcreatinine clearanceは平均6ml/mであり,臨床的には溢水例が多かつた.免疫血清学的には抗核抗体, LE細胞の陽性例が大半で,従つてHD開始時のcorticosteroid homone (CS)の投与量は平均32.5mg/dであつた. 25例の予後はHD離脱3例(平均HD期間5.8カ月), HD継続中10例(平均HD期間21.7カ月),死亡12例(平均HD期間6.5カ月)で, 3群のHD開始時S-Crに有意差はなかつた. CoplonはS-Cr4mg/dlに達したSLE患者はCS投与をやめHDを導入すべきであると述べているので,当科にて治療中のSLE患者(100例)のうち,経過中S-Crが2mg/dlをこえた26例にかんし, CS治療に対する反応をみたところ, S-Cr4~5mg/dlの4例中3例でS-Crが正常化したのに対し, S-Cr5mg/dlをこえた11例では正常化例が全く存在しなかつた,従つてlupus腎炎の治療にCSがfirst choiceであることは当然であるが, S-Crが5mg/dlをこえた場合はHD導入を考慮すべきである.またSLEではHD離脱の可能性があることを考えて,厳重な管理と離脱への努力を尽すべきであろう.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.65.471