気管支嚢腫に対しエタノール注入療法を施行した1例

27歳, 独身女性.呼吸困難にて来院.胸部CTで縦隔の境界明瞭な巨大腫瘍を認め, 気管は圧迫され狭窄していた.胸部MRIではT1, T2強調共に高信号を示し, また分葉構造を呈していた.悪性所見を認めず気管支嚢腫と診断した.良性腫瘍なので, 後側方切開開胸での腫瘍摘出術は美容的観点から選択しずらかった.胸腔鏡下摘出術も腫瘍存在部位, 範囲から困難と判断した.そのため摘出術でなく, 腫瘍内エタノール注入療法を考案した.頚部襟状切開で腫瘍上縁に到達し気管支鏡を嚢腫内に挿入, 同時に経食道超音波検査を併用し嚢腫内隔壁構造を確認.TBLB用鉗子で隔壁構造を破壊し単腔化を図った.術中嚢腫造影検査で他臓器...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 45 - 48
Main Authors 林, 晃一, 五味淵, 誠, 秋山, 博彦, 原口, 秀司, 田中, 茂夫, 真崎, 義隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.01.1997
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.11.45

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Summary:27歳, 独身女性.呼吸困難にて来院.胸部CTで縦隔の境界明瞭な巨大腫瘍を認め, 気管は圧迫され狭窄していた.胸部MRIではT1, T2強調共に高信号を示し, また分葉構造を呈していた.悪性所見を認めず気管支嚢腫と診断した.良性腫瘍なので, 後側方切開開胸での腫瘍摘出術は美容的観点から選択しずらかった.胸腔鏡下摘出術も腫瘍存在部位, 範囲から困難と判断した.そのため摘出術でなく, 腫瘍内エタノール注入療法を考案した.頚部襟状切開で腫瘍上縁に到達し気管支鏡を嚢腫内に挿入, 同時に経食道超音波検査を併用し嚢腫内隔壁構造を確認.TBLB用鉗子で隔壁構造を破壊し単腔化を図った.術中嚢腫造影検査で他臓器と交通のないことを確認した後, 嚢腫内に純エタノールを注入し, 嚢腫内膜を固定した.術後一過性に慶声を認めた以外に合併症もなく, 腫瘍は著明に縮小し呼吸困難も消失した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.11.45