同時性直腸・食道癌の1例
症例は, 48歳男性.下血,嚥下困難を主訴に来院した.精査の結果,同時性の食道・直腸癌と判明した.一期的に胸部食道全摘・胃管による再建術および低位前方切除術を施行した.術後経過は良好であったが,食道癌が咽頭・舌・縦隔リンパ節に転移し放射線・化学療法を施行したが,術後約2年で死亡した. 術前の免疫細胞検査にて細胞性免疫の低下が見い出された.また,術後標本の遺伝子検索ではp53癌抑制遺伝子の変異が食道・直腸いずれの癌組織からも確認された.重複癌において,免疫機能の低下や遺伝子変異がその発癌に関与することが示唆された....
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 8; pp. 2246 - 2250 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.08.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.2246 |
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Summary: | 症例は, 48歳男性.下血,嚥下困難を主訴に来院した.精査の結果,同時性の食道・直腸癌と判明した.一期的に胸部食道全摘・胃管による再建術および低位前方切除術を施行した.術後経過は良好であったが,食道癌が咽頭・舌・縦隔リンパ節に転移し放射線・化学療法を施行したが,術後約2年で死亡した. 術前の免疫細胞検査にて細胞性免疫の低下が見い出された.また,術後標本の遺伝子検索ではp53癌抑制遺伝子の変異が食道・直腸いずれの癌組織からも確認された.重複癌において,免疫機能の低下や遺伝子変異がその発癌に関与することが示唆された. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.2246 |