血行再建のみで救命した急性上腸間膜動脈塞栓症の1例

早期診断し血行再建のみで救命した急性上腸間膜動脈塞栓症の1例を報告する.症例は77歳女性,急性腹症にて来院する.来院時は,症状の程度に比して腹部理学的所見に乏しかった.しかし,心房細動で既往歴に心筋梗塞を認めたため,急性上腸間膜動脈塞栓症を疑い,発症より2時間で緊急血管造影を施行した.所見は,中結腸動脈分岐より末梢の上腸間膜動脈本幹に閉塞を認めた.まずは,ウロキナーゼを選択的に上腸間膜動脈に動注し血栓溶解術を施行した.その結果腹痛が消失したため抗凝固線溶療法にて保存的に経過を観察した.しかし,動注後10日目に再度腹痛出現し白血球も49300/mm3に急激に上昇したため開腹術を施行した.開腹所見...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 6; pp. 1487 - 1491
Main Authors 廣松, 伸一, 小野, 崇典, 高宮, 博樹, 永田, 省吾, 竹内, 正昭, 宮城, 委史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.2000
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Summary:早期診断し血行再建のみで救命した急性上腸間膜動脈塞栓症の1例を報告する.症例は77歳女性,急性腹症にて来院する.来院時は,症状の程度に比して腹部理学的所見に乏しかった.しかし,心房細動で既往歴に心筋梗塞を認めたため,急性上腸間膜動脈塞栓症を疑い,発症より2時間で緊急血管造影を施行した.所見は,中結腸動脈分岐より末梢の上腸間膜動脈本幹に閉塞を認めた.まずは,ウロキナーゼを選択的に上腸間膜動脈に動注し血栓溶解術を施行した.その結果腹痛が消失したため抗凝固線溶療法にて保存的に経過を観察した.しかし,動注後10日目に再度腹痛出現し白血球も49300/mm3に急激に上昇したため開腹術を施行した.開腹所見は腸管壊死は認めず3Fr Fogartyカテーテルにて塞栓除去術のみを施行した.術後経過は良好で,術後8週間目に退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.1487