浣腸によると思われた直腸膀胱瘻の1例

症例は73歳男性.他院でポリペクトミー目的の大腸ファイバーの前処置としてグリセリン浣腸を受けた際に直腸損傷を起こし,大腸ファイバー下にクリッピングによる修復術を受けた.その後退院となったが,腹痛は治まらず当院を受診した.入院後39度台の熱発と糞尿,尿便の排出をきたした.入院後の検査では,大腸ファイバーおよび膀胱鏡で直腸膀胱瘻を, CTで直腸周囲膿瘍を確認した.これに対して直腸周囲膿瘍ドレナージ,直腸膀胱修復術およびS状結腸人工肛門造影術を施行した.膀胱直腸修復部は良好にコントロールされ順調に経過した. グリセリン浣腸は頻繁に行われる処置で,直腸穿通は稀な合併症であるが,事後の処置が不適切な場合...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 6; pp. 1579 - 1582
Main Authors 濱崎, 達憲, 古谷, 卓三, 森近, 博司, 上野, 隆
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.06.1999
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Summary:症例は73歳男性.他院でポリペクトミー目的の大腸ファイバーの前処置としてグリセリン浣腸を受けた際に直腸損傷を起こし,大腸ファイバー下にクリッピングによる修復術を受けた.その後退院となったが,腹痛は治まらず当院を受診した.入院後39度台の熱発と糞尿,尿便の排出をきたした.入院後の検査では,大腸ファイバーおよび膀胱鏡で直腸膀胱瘻を, CTで直腸周囲膿瘍を確認した.これに対して直腸周囲膿瘍ドレナージ,直腸膀胱修復術およびS状結腸人工肛門造影術を施行した.膀胱直腸修復部は良好にコントロールされ順調に経過した. グリセリン浣腸は頻繁に行われる処置で,直腸穿通は稀な合併症であるが,事後の処置が不適切な場合,重大な合併症へと発展することがある.直腸穿通を起こすと直腸周囲膿瘍は必発であり,早期に適切なドレナージをする必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.1579