Press through pack誤飲による回腸穿孔の1例

症例は49歳女性,当院脳神経外科に入院中,平成9年12月2日の朝,薬を包装しているpress through pack (PTP)を誤飲した.翌日夜間より腹痛出現,外科転科となった.腹部CT検査で右下腹部に線状のhigh densityを示す異物を認め,本人の訴えなどからPTPと考えられた.腹部所見が増悪し板状硬となり, PTPによる穿孔性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.回腸末端から25cmにPTPを触知し,同部が一部穿孔していた. PTP誤飲の中で小腸穿孔は稀であり,文献上本邦報告例は自験例を含め19例であった. PTP誤飲時にはまず上部消化管内視鏡検査を行い,早期に摘出すべきである.し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 8; pp. 2076 - 2080
Main Authors 守屋, 祐介, 稲垣, 芳則, 中里, 雄一, 足利, 建, 吉田, 清哉, 青木, 照明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2000
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.61.2076

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Summary:症例は49歳女性,当院脳神経外科に入院中,平成9年12月2日の朝,薬を包装しているpress through pack (PTP)を誤飲した.翌日夜間より腹痛出現,外科転科となった.腹部CT検査で右下腹部に線状のhigh densityを示す異物を認め,本人の訴えなどからPTPと考えられた.腹部所見が増悪し板状硬となり, PTPによる穿孔性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.回腸末端から25cmにPTPを触知し,同部が一部穿孔していた. PTP誤飲の中で小腸穿孔は稀であり,文献上本邦報告例は自験例を含め19例であった. PTP誤飲時にはまず上部消化管内視鏡検査を行い,早期に摘出すべきである.しかし小腸まで到達している場合には,十分な経過観察が必要で, PTPの存在部位の診断にはCT検査が有用と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.61.2076