成人仮性腸間膜嚢胞の1例

成人の仮性腸間膜嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は38歳,女性,下腹部腫瘤を主訴に当院内科受診となった. MRI検査,経腟超音波検査にて10cm大と7cm大の単房性嚢胞性腫瘤を認めた.卵巣嚢腫の診断のもとに開腹すると,左卵巣嚢腫を認めたものの,回腸間膜にも黄白色の被膜を有する嚢胞性腫瘍を認めた.腫瘍は回腸との癒着が強く,腫瘍とともに回腸部分切除を施行した.内容液は黄白色な乳糜液であった.病理組織学的には,嚢胞壁に上皮細胞成分は存在せず仮性腸間膜嚢胞と診断された. 仮性腸間膜嚢胞は自験例を含めて14例であり,極めて稀な疾患であると考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 9; pp. 2309 - 2312
Main Authors 堀, 武治, 天道, 正成, 小山, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2003
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Summary:成人の仮性腸間膜嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は38歳,女性,下腹部腫瘤を主訴に当院内科受診となった. MRI検査,経腟超音波検査にて10cm大と7cm大の単房性嚢胞性腫瘤を認めた.卵巣嚢腫の診断のもとに開腹すると,左卵巣嚢腫を認めたものの,回腸間膜にも黄白色の被膜を有する嚢胞性腫瘍を認めた.腫瘍は回腸との癒着が強く,腫瘍とともに回腸部分切除を施行した.内容液は黄白色な乳糜液であった.病理組織学的には,嚢胞壁に上皮細胞成分は存在せず仮性腸間膜嚢胞と診断された. 仮性腸間膜嚢胞は自験例を含めて14例であり,極めて稀な疾患であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.2309