腹腔鏡下手術にて治療した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1例

子宮広間膜欠損部に生じた内ヘルニアによる腸閉塞は稀であり,腹腔鏡下に手術された症例は検索した限りにおいて報告されていない.今回,われわれは腹腔鏡下手術にて診断,治療した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1症例を経験したので報告する. 症例は73歳女性.保存的治療で軽快しない癒着性腸閉塞の診断で,腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を検索したところ,右子宮広間膜欠損部に腹側から背側に,終末回腸から約1mの部位の回腸が約15cm嵌入し内ヘルニアを発症していた.嵌入していた回腸は赤紫色であったが,整腹後色調が回復したため腸管切除は行わず,裂孔を閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好であった. 術前診断が難しく嵌入腸管...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 8; pp. 2212 - 2217
Main Authors 廣田, 正樹, 芳賀, 駿介, 加藤, 博之, 梶原, 哲郎, 永田, 浩一, 河内, 保之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.2212

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Summary:子宮広間膜欠損部に生じた内ヘルニアによる腸閉塞は稀であり,腹腔鏡下に手術された症例は検索した限りにおいて報告されていない.今回,われわれは腹腔鏡下手術にて診断,治療した子宮広間膜裂孔ヘルニアの1症例を経験したので報告する. 症例は73歳女性.保存的治療で軽快しない癒着性腸閉塞の診断で,腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を検索したところ,右子宮広間膜欠損部に腹側から背側に,終末回腸から約1mの部位の回腸が約15cm嵌入し内ヘルニアを発症していた.嵌入していた回腸は赤紫色であったが,整腹後色調が回復したため腸管切除は行わず,裂孔を閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好であった. 術前診断が難しく嵌入腸管の血行不良のため腸切除となることが多い本疾患において,近年適応が拡大されつつある腹腔鏡下手術は診断および治療に優れた方法であると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.2212