PTP誤飲が誘因と考えられた小腸結核後狭窄によるイレウスの1例

症例は77歳,女性. 2000年9月腸結核にて当院消化器内科で保存的治療が行われていたが, 2002年6月回腸での2ヵ所の輪状潰瘍瘢痕狭窄によるイレウスを発症し,小腸部分切除と狭窄部形成術を施行した. 2003年5月1日突然の嘔吐と腹部膨満感を主訴に再入院となった.画像所見では小腸の著明な拡張とニボー像を認め,腹部所見では腹部全体が著明に膨満し圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認められず,絞扼を示唆する所見はなかった.同日イレウス管を挿入したが減圧不良であり,翌日,白血球数・血小板数の減少と腹膜刺激症状も認めたため,敗血症を伴う絞扼性イレウスを疑い同年5月2日緊急手術を施行した.開腹所見では,絞扼...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 1267 - 1272
Main Authors 清水, 喜徳, 鈴木, 恵史, 角田, 明良, 草野, 満夫, 中尾, 健太郎, 諸原, 浩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2004
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.1267

Cover

More Information
Summary:症例は77歳,女性. 2000年9月腸結核にて当院消化器内科で保存的治療が行われていたが, 2002年6月回腸での2ヵ所の輪状潰瘍瘢痕狭窄によるイレウスを発症し,小腸部分切除と狭窄部形成術を施行した. 2003年5月1日突然の嘔吐と腹部膨満感を主訴に再入院となった.画像所見では小腸の著明な拡張とニボー像を認め,腹部所見では腹部全体が著明に膨満し圧痛を認めたが,腹膜刺激症状は認められず,絞扼を示唆する所見はなかった.同日イレウス管を挿入したが減圧不良であり,翌日,白血球数・血小板数の減少と腹膜刺激症状も認めたため,敗血症を伴う絞扼性イレウスを疑い同年5月2日緊急手術を施行した.開腹所見では,絞扼腸管は認めなかったが,前回の手術部と同一の2ヵ所に狭窄が認められ,ここを含めた回盲部切除,小腸瘻造設術を行った.切除した拡張腸管内にPTPを1個認め,これが肛門側の狭窄部を閉塞してイレウスが誘発されたと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1267