局所再発を繰り返し異時性肝転移をきたした直腸gastrointestinal stromal tumorの1例

直腸gastrointestinal stromal tumor (GIST)が局所再発を繰り返し,異時性に肝転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は82歳,女性.既往歴としては, 61歳時に,直腸平滑筋肉腫のため,経仙骨的切除術施行した.その後, 18年間に4回の局所再発を認め, 79歳時に腹会陰式直腸切断術を行い,この際,直腸GISTと診断された.今回,肝腫瘍を指摘され入院した.精査にて,肝S3に3.0cm, S4に1.0cmの転移性腫瘍を認め,これら2個の転移性肝腫瘍に対し核出術を行った.病理診断は直腸GISTの肝転移で,免疫組織学的にCD34, c-kitは陽性, SMA, d...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 1318 - 1322
Main Authors 岡崎, 護, 井出澤, 剛直, 柴, 修吾, 木嶋, 泰興, 井上, 亜矢子, 輿石, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2004
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.1318

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Summary:直腸gastrointestinal stromal tumor (GIST)が局所再発を繰り返し,異時性に肝転移をきたした症例を経験したので報告する.症例は82歳,女性.既往歴としては, 61歳時に,直腸平滑筋肉腫のため,経仙骨的切除術施行した.その後, 18年間に4回の局所再発を認め, 79歳時に腹会陰式直腸切断術を行い,この際,直腸GISTと診断された.今回,肝腫瘍を指摘され入院した.精査にて,肝S3に3.0cm, S4に1.0cmの転移性腫瘍を認め,これら2個の転移性肝腫瘍に対し核出術を行った.病理診断は直腸GISTの肝転移で,免疫組織学的にCD34, c-kitは陽性, SMA, desmin, NSEは陰性で,直腸の原発巣と同様の所見であった.本例は初回治療から21年が経過しており,非常に緩徐な進行様式を呈するGIST悪性型と言える.この様な症例は非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1318