虫垂癌,胃癌の同時性2重癌の1例

• Published in: 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 7; pp. 1931 - 1936
• Main Authors: 森脇, 義弘, 山崎, 安信, 望月, 康久, 牧野, 達郎, 須田, 嵩, 竹村, 浩
• Format: Journal Article
• Language: English
• Published: 日本臨床外科学会 25.07.2000
• Subjects: 再発虫垂癌切除; 同時性2重癌; 虫垂癌
• ISSN: 1345-2843; 1882-5133
• DOI: 10.3919/jjsa.61.1931

虫垂癌,胃癌の重複癌に対し根治手術を施行, 5年間無症候で経過, 5年9カ月後に虫垂癌が再発したが再発巣を姑息的に切除し再手術後2年2カ月生存し得た症例を経験した.症例は, 72歳,女性.貧血の精査で進行胃癌を認め, 1988年11月22日手術施行.術中,回盲部に径3cmの腫瘤を認めた.胃癌の術中診断はP0T2(SS)N2(+) で,虫垂腫瘍は原発性と診断,幽門側胃切除+D2, 回盲部切除+D3を施行.総合診断は,胃癌H0P0M0 3 t2(ss), n0, tub2, 虫垂癌H0P0M(-), ss, n0, sig. 1994年8月腸閉塞で再入院,腹部CTで回腸結腸吻合部再発を認め, 1994年8月29日再発巣と回腸所属リンパ節(2群相当)を切除. 1996年8月腹膜播種,腸閉塞で再入院, 10月3日死亡した.再終入院直前まで, performance statusのgradeは再手術時と変わりなく,外来通院も可能であった.胃癌,虫垂腫瘍合併例では,虫垂腫瘍が原発巣か転移性かの見極めが重要で,また,虫垂腺癌の吻合部再発も,通常の大腸癌と同様に,外科切除の効果が期待できると思われた.