虫垂をヘルニア内容とする大腿ヘルニアと閉鎖孔ヘルニアが併存した1例

ヘルニア内容に虫垂を認めた大腿ヘルニアを合併した閉鎖孔ヘルニアの極めて稀な1例を経験した. 症例は77歳,女性.貧血の精査加療のため入院中,右大腿部に有痛性腫瘤とイレウス症状が出現したため,右大腿ヘルニア嵌頓によるイレウスと診断して,手術を施行した.ヘルニア内容は腫大した虫垂で,ヘルニア嚢と癒着していた.虫垂切除とヘルニア嚢切除, McVay法による後壁補強を行った.術後イレウス症状が改善しないため,第7病日にイレウス管を挿入し,第9病日にイレウス管造影を施行したところ右骨盤腔で小腸の閉塞を認めた.腹部CT検査で右外閉鎖筋と恥骨筋の間に境界明瞭な類円形腫瘤像を認められ,右閉鎖孔ヘルニアと診断し...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 1112 - 1116
Main Authors 菅沼, 利行, 長谷, 和生, 識名, 敦, 田中, 正文, 宇都宮, 勝之, 藤野, 啓一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2004
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Summary:ヘルニア内容に虫垂を認めた大腿ヘルニアを合併した閉鎖孔ヘルニアの極めて稀な1例を経験した. 症例は77歳,女性.貧血の精査加療のため入院中,右大腿部に有痛性腫瘤とイレウス症状が出現したため,右大腿ヘルニア嵌頓によるイレウスと診断して,手術を施行した.ヘルニア内容は腫大した虫垂で,ヘルニア嚢と癒着していた.虫垂切除とヘルニア嚢切除, McVay法による後壁補強を行った.術後イレウス症状が改善しないため,第7病日にイレウス管を挿入し,第9病日にイレウス管造影を施行したところ右骨盤腔で小腸の閉塞を認めた.腹部CT検査で右外閉鎖筋と恥骨筋の間に境界明瞭な類円形腫瘤像を認められ,右閉鎖孔ヘルニアと診断した.同日開腹術を行い,回腸末端より約190cm口側の小腸が右閉鎖孔にRichter型に嵌頓していた.嵌頓小腸の一部に壊死が認められたため小腸部分切除と右閉鎖孔の縫合閉鎖を行った.術後35病日に軽快退院した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1112