虫垂癌に合併した非クロストリジウム性ガス壊疽の1例

症例は71歳,女性.右腹壁の腫脹・疼痛を主訴に来院.来院時,右腹壁に水疱壊死を伴う発赤した領域を認めた.腹部単純X線およびCT検査にて,同部の皮下組織および筋層内にガス像が確認され,ガス壊疽の診断にて切開ドレナージ,デブリドマンを施行した.細菌培養の結果,非クロストリジウム性ガス壊疽であり,抗生物質の投与,高圧酸素療法を施行し救命することが出来た.その後,皮膚欠損部に植皮術を施行したが,後腹膜との瘻孔形成を認めた.大腸の精査を行ったが悪性腫瘍の診断は得られなかった.しかし,瘻孔は閉鎖せず開腹手術を施行したところ,後腹膜に穿通した虫垂癌を認めた. 原因不明の非クロストリジウム性ガス壊疽には悪性腫...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 8; pp. 2149 - 2153
Main Authors 山之内, 孝彰, 脇, 慎治, 西脇, 由朗, 池松, 禎人, 内村, 正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.1999
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は71歳,女性.右腹壁の腫脹・疼痛を主訴に来院.来院時,右腹壁に水疱壊死を伴う発赤した領域を認めた.腹部単純X線およびCT検査にて,同部の皮下組織および筋層内にガス像が確認され,ガス壊疽の診断にて切開ドレナージ,デブリドマンを施行した.細菌培養の結果,非クロストリジウム性ガス壊疽であり,抗生物質の投与,高圧酸素療法を施行し救命することが出来た.その後,皮膚欠損部に植皮術を施行したが,後腹膜との瘻孔形成を認めた.大腸の精査を行ったが悪性腫瘍の診断は得られなかった.しかし,瘻孔は閉鎖せず開腹手術を施行したところ,後腹膜に穿通した虫垂癌を認めた. 原因不明の非クロストリジウム性ガス壊疽には悪性腫瘍,特に結腸癌の合併が多いとされ,免疫力の低下が関与しているといわれている.虫垂癌を合併した症例は稀であり文献的考察を加えて報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.2149