術前反復肝動注化学療法が奏効した胆管細胞癌の1例

症例は58歳女性.心窩部痛を主訴に来院. CA19-9値の異常高値および画像診断にて肝尾状葉の胆管細胞癌と診断した.腫瘍は径5cm大で下大静脈への浸潤が疑われたもののリンパ節の腫大は認めなかったため,リザーバーを留置し, 5-FU 500mg, ADM 20mg, MMC 4mgによる肝動注化学療法(1回/2w,計6回)を施行した,化学療法により腫瘍は径2cm大へと縮小し, CA19-9値の著明な低下も観察した.しかし, CA19-9値の低下には限界があり,根治を目的に肝切除術を施行した.病理学的検査においても腫瘍部分の多くは壊死に陥っており,術前の化学療法の有効性が確認された. 胆管細胞癌に...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 8; pp. 2142 - 2146
Main Authors 明石, 諭, 中島, 祥介, 金廣, 祐道, 青松, 幸雄, 大橋, 一夫, 中野, 博重
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.1998
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Summary:症例は58歳女性.心窩部痛を主訴に来院. CA19-9値の異常高値および画像診断にて肝尾状葉の胆管細胞癌と診断した.腫瘍は径5cm大で下大静脈への浸潤が疑われたもののリンパ節の腫大は認めなかったため,リザーバーを留置し, 5-FU 500mg, ADM 20mg, MMC 4mgによる肝動注化学療法(1回/2w,計6回)を施行した,化学療法により腫瘍は径2cm大へと縮小し, CA19-9値の著明な低下も観察した.しかし, CA19-9値の低下には限界があり,根治を目的に肝切除術を施行した.病理学的検査においても腫瘍部分の多くは壊死に陥っており,術前の化学療法の有効性が確認された. 胆管細胞癌に対する化学療法の確立された薬剤使用法に関する十分な検討はなされておらず,またその有効性は低いと一般的に認識されている.本症例は術前肝動注化学療法の有効性が画像的,血液学的そして病理学的にも確認され,貴重な症例と考え報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2142