リンパ節転移を伴い,原発巣の自然退縮を認めた肝細胞癌の1例

症例は66歳,男性. C型慢性肝炎の経過観察中2000年8月,肝後区域に4.8×4.6cm大の肝細胞癌を認めα-fetoprotein (AFP)は9, 820.7ng/mlと異常高値を示した.同時に膵頭部背側の傍大動脈リンパ節腫大も認めた. 2000年11月無治療にも関わらずAFPが2, 741.8ng/mlと低下を示し,肝腫瘍は2 cm大に縮小がみられたが,リンパ節転移は増大していた. AFPは2002年2月には21, 164.9ng/mlまで増加した. 2002年4月9日リンパ節切除手術を施行した.術後AFPは一旦低下を示したが術後4カ月目に3,030.9ng/mlと再上昇を示した.画像...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 4; pp. 1017 - 1021
Main Authors 高島, 勉, 仲田, 文造, 河本, 真大, 埜村, 真也, 西野, 裕二, 平川, 弘聖
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.2004
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Summary:症例は66歳,男性. C型慢性肝炎の経過観察中2000年8月,肝後区域に4.8×4.6cm大の肝細胞癌を認めα-fetoprotein (AFP)は9, 820.7ng/mlと異常高値を示した.同時に膵頭部背側の傍大動脈リンパ節腫大も認めた. 2000年11月無治療にも関わらずAFPが2, 741.8ng/mlと低下を示し,肝腫瘍は2 cm大に縮小がみられたが,リンパ節転移は増大していた. AFPは2002年2月には21, 164.9ng/mlまで増加した. 2002年4月9日リンパ節切除手術を施行した.術後AFPは一旦低下を示したが術後4カ月目に3,030.9ng/mlと再上昇を示した.画像上肝腫瘍は変化なく,膵腹側に新たに径3 cm大のリンパ節腫大を認めた.術後1年目, AFPは2,277.6ng/mlとやや減少し,肝腫瘍もリンパ節も増大を認めていない.肝細胞癌の自然退縮は極めて稀であり,さらに原発巣とリンパ節転移巣が相反する動向を示したことは非常に興味深い.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1017