保存的に軽快した門脈ガス血症を呈した術後単純性イレウスの1例

門脈ガス血症(Portal Venous Gas: PVG)は,主に腸管壊死を合併する虚血性腸疾患にみられ,予後不良の徴候として知られている.われわれは骨盤内臓全摘術後の単純性イレウスにPVGを認め,保存的療法にて軽快した症例を経験したので報告する.患者は59歳の男性.嘔吐,腹痛で発症し,腹部単純X線検査でイレウスと診断された.腹部CT検査でPVGを認めたが,絞扼性イレウスは否定的であり術後単純性イレウスによるものと診断し,絶飲食とイレウス管による減圧療法を行った.経過は良好であり13日目に退院となった. PVGを認めた単純性イレウスの報告は自験例を含めて4症例であった.イレウス症例にPVGを...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 1221 - 1225
Main Authors 池, 秀之, 嶋田, 紘, 小金井, 一隆, 大木, 繁男, 志澤, 良一, 関戸, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1221

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Summary:門脈ガス血症(Portal Venous Gas: PVG)は,主に腸管壊死を合併する虚血性腸疾患にみられ,予後不良の徴候として知られている.われわれは骨盤内臓全摘術後の単純性イレウスにPVGを認め,保存的療法にて軽快した症例を経験したので報告する.患者は59歳の男性.嘔吐,腹痛で発症し,腹部単純X線検査でイレウスと診断された.腹部CT検査でPVGを認めたが,絞扼性イレウスは否定的であり術後単純性イレウスによるものと診断し,絶飲食とイレウス管による減圧療法を行った.経過は良好であり13日目に退院となった. PVGを認めた単純性イレウスの報告は自験例を含めて4症例であった.イレウス症例にPVGを認めた症例は,腸管壊死を伴う絞扼性イレウスを第一に考え緊急手術の適応となるが,単純性イレウスにPVGを認める症例も存在するため治療法の決定を慎重に行う必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1221