大腸穿孔44症例の検討

最近過去12年間に当科で経験した大腸穿孔手術症例44例につき検討したので報告する.症例は,男性23例,女性21例で,平均年齢は69歳であった.症状は,全例腹痛を訴え,その他腹満感,嘔気嘔吐などの症状を認めた.腹部所見は,圧痛をほぼ全例に認めBlumberg徴候,筋性防御は36例に認めた.症状発生から手術までの期間は平均39時間であり,入院期間は, 62.1日であった.また術前ショック状態,総タンパクの低下した症例は予後不良であった.腹腔内遊離ガス発生症例は, 26例であり全体の59.1%であった.穿孔部位は, S状結腸がもっとも多く30例,次いで直腸,盲腸,横行結腸の順であった.原因疾患は,医...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 8; pp. 1989 - 1994
Main Authors 高瀬, 真, 長尾, 二郎, 斉田, 芳久, 草地, 信也, 柁原, 宏久, 能戸, 保光, 中村, 陽一, 仲, 威和郎, 中村, 寧, 炭山, 嘉伸
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.1998
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Summary:最近過去12年間に当科で経験した大腸穿孔手術症例44例につき検討したので報告する.症例は,男性23例,女性21例で,平均年齢は69歳であった.症状は,全例腹痛を訴え,その他腹満感,嘔気嘔吐などの症状を認めた.腹部所見は,圧痛をほぼ全例に認めBlumberg徴候,筋性防御は36例に認めた.症状発生から手術までの期間は平均39時間であり,入院期間は, 62.1日であった.また術前ショック状態,総タンパクの低下した症例は予後不良であった.腹腔内遊離ガス発生症例は, 26例であり全体の59.1%であった.穿孔部位は, S状結腸がもっとも多く30例,次いで直腸,盲腸,横行結腸の順であった.原因疾患は,医原性17例が多く,それにつづき,憩室炎11例,大腸癌,特発性であった.死亡症例は5例であり,いずれも腹膜炎による敗血症,多臓器不全のため失った.また最近では敗血症に対し,血液濾過によるエンドトキシン吸着を行っており, 1症例を救命しえた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1989