長期の経過で肝嚢胞腺腫から嚢胞腺癌に移行したと思われる1例

症例は67歳の女性で, 1986年から肝右葉の肝嚢胞を指摘され, 1998年以降当院にてCT, 腹部超音波検査にて経過観察されていた.嚢胞は増大傾向を示し, 2002年7月より下腹部から右腎部の疼痛と食欲不振を自覚し入院となる.内部に腫瘤陰影を認め, 9月18日,肝悪性腫瘍の診断にて肝右葉切除術を施行した.病理組織検査にて嚢胞腺癌 (papillotubular, 肝臓浸潤(+)), EMA(+), CK7(+), CK20(+~-), AFP(-) であった.経過良好で,第19病日退院となったが, 12月に入り全身倦怠感などが出現. CTにて傍大動脈リンパ節腫大を認め, CEA, CA19-...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 5; pp. 1146 - 1150
Main Authors 三田村, 篤, 天本, 明子, 鈴木, 雄, 竹花, 教, 遠藤, 義洋, 北村, 道彦, 君塚, 五郎
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.05.2005
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Summary:症例は67歳の女性で, 1986年から肝右葉の肝嚢胞を指摘され, 1998年以降当院にてCT, 腹部超音波検査にて経過観察されていた.嚢胞は増大傾向を示し, 2002年7月より下腹部から右腎部の疼痛と食欲不振を自覚し入院となる.内部に腫瘤陰影を認め, 9月18日,肝悪性腫瘍の診断にて肝右葉切除術を施行した.病理組織検査にて嚢胞腺癌 (papillotubular, 肝臓浸潤(+)), EMA(+), CK7(+), CK20(+~-), AFP(-) であった.経過良好で,第19病日退院となったが, 12月に入り全身倦怠感などが出現. CTにて傍大動脈リンパ節腫大を認め, CEA, CA19-9も上昇し,再発と診断した.抗癌剤治療を行ったが全身状態は悪化し, 4月22日死亡された.肝嚢胞は多くの場合良性であるが,多房性で,壁の肥厚や不整を有する例では,悪性を念頭に入れた注意深い経過観察が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.1146