深腸骨回旋動脈を利用したPGE1持続動注療法が有効であった閉塞性動脈硬化症の1例

閉塞性動脈硬化症による虚血性潰瘍に対してPGE1持続動注を行い良好な結果を得たので報告する.症例は73歳男性で2年前に他院で大腿・膝窩動脈バイパス術を受けていた. 1年6カ月前に左第1趾が壊疽となり趾切断を受けていたが10カ月前から断端が〓開し潰瘍となったため来院した.血管造影ではバイパスは閉塞し,大腿動脈以下の造影は不良であった.血行再建術は困難であり,硬膜外麻酔とPGE1点滴静注療法では十分な改善が得られなかった.そこで腰部交感神経節切除と同時に深腸骨回旋動脈から総大腿動脈にカテーテルを留置しPGE1持続動注を行った. 67日間継続し断端形成を要したものの創治癒は良好であり合併症もなく救肢...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 2054 - 2058
Main Authors 松橋, 亘, 梅津, 莊一, 大澤, 寛行, 佐々木, 勝海, 石原, 哲
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.2001
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Summary:閉塞性動脈硬化症による虚血性潰瘍に対してPGE1持続動注を行い良好な結果を得たので報告する.症例は73歳男性で2年前に他院で大腿・膝窩動脈バイパス術を受けていた. 1年6カ月前に左第1趾が壊疽となり趾切断を受けていたが10カ月前から断端が〓開し潰瘍となったため来院した.血管造影ではバイパスは閉塞し,大腿動脈以下の造影は不良であった.血行再建術は困難であり,硬膜外麻酔とPGE1点滴静注療法では十分な改善が得られなかった.そこで腰部交感神経節切除と同時に深腸骨回旋動脈から総大腿動脈にカテーテルを留置しPGE1持続動注を行った. 67日間継続し断端形成を要したものの創治癒は良好であり合併症もなく救肢することができた.深腸骨回旋動脈から総大腿動脈にカテーテルを留置する方法は固定がよく,また感染が起こりにくく可動制限も不要でありPGE1の持続動注に有益な方法と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.2054