直腸原発内分泌細胞癌の1例
今回,われわれは直腸原発の内分泌細胞癌の1例を経験したので,自験例を含めた本邦報告56例の集計を含めて報告する.症例は63歳,女性で,肛門痛を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で下部直腸(Rb)に2型腫瘍を認め,生検にて低分化腺癌または未分化癌と診断された.遠隔転移の所見はなく,腹会陰式直腸切断術を施行した.免疫組織学的にNSE, Grimeliusおよびsynaptophysin染色が陽性で,内分泌細胞癌と診断した.患者は大動脈周囲リンパ節転移および多発性脊椎転移のため術後5ヵ月で死亡した.本邦報告56例の集計ではリンパ節転移,脈管侵襲および肝転移を高頻度に認め,予後は極めて不良で35例(65%...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 6; pp. 1620 - 1624 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.06.2004
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.65.1620 |
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Summary: | 今回,われわれは直腸原発の内分泌細胞癌の1例を経験したので,自験例を含めた本邦報告56例の集計を含めて報告する.症例は63歳,女性で,肛門痛を主訴に来院した.大腸内視鏡検査で下部直腸(Rb)に2型腫瘍を認め,生検にて低分化腺癌または未分化癌と診断された.遠隔転移の所見はなく,腹会陰式直腸切断術を施行した.免疫組織学的にNSE, Grimeliusおよびsynaptophysin染色が陽性で,内分泌細胞癌と診断した.患者は大動脈周囲リンパ節転移および多発性脊椎転移のため術後5ヵ月で死亡した.本邦報告56例の集計ではリンパ節転移,脈管侵襲および肝転移を高頻度に認め,予後は極めて不良で35例(65%)が1年以内に死亡していた.予後の改善のためには手術のみだけではなく,化学療法や放射線療法を含めた集学的治療を検討すべきと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.65.1620 |