大腸癌術後早期に腸閉塞をきたした腸間膜脂肪織炎の2例

症例1は63歳男性で横行結腸癌にて腹腔鏡補助下横行結腸切除術を施行し,腸閉塞のため術後21日目に再手術を行った.吻合部周囲および空腸が脂肪織炎のため一塊となり切除した. 2回目手術後も空腸吻合部周囲の脂肪織炎による腸閉塞が持続し,術後67日目よりプレドニゾロン60mg/日を投与したところ症状は改善し144日目に退院した. 症例2は86歳男性でS状結腸癌にて小開腹下S状結腸切除術を施行した.術後15日目に腸閉塞症状が出現し, CTにて吻合部周囲の脂肪織の肥厚とCT値上昇を認めた.術後17日目からプレドニゾロンを投与したところ症状は改善し術後39日目に退院した. 腸間膜脂肪織炎の診断にはCTが有用...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 1386 - 1391
Main Authors 鈴木, 修, 竹花, 卓夫, 小林, 正史, 松川, 哲之助
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.05.2004
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Summary:症例1は63歳男性で横行結腸癌にて腹腔鏡補助下横行結腸切除術を施行し,腸閉塞のため術後21日目に再手術を行った.吻合部周囲および空腸が脂肪織炎のため一塊となり切除した. 2回目手術後も空腸吻合部周囲の脂肪織炎による腸閉塞が持続し,術後67日目よりプレドニゾロン60mg/日を投与したところ症状は改善し144日目に退院した. 症例2は86歳男性でS状結腸癌にて小開腹下S状結腸切除術を施行した.術後15日目に腸閉塞症状が出現し, CTにて吻合部周囲の脂肪織の肥厚とCT値上昇を認めた.術後17日目からプレドニゾロンを投与したところ症状は改善し術後39日目に退院した. 腸間膜脂肪織炎の診断にはCTが有用で,他部位と異なるCT値を呈する脂肪組織の肥厚が特徴である.治療はステロイドが有効で原則的には保存治療を選択すべきである.術後早期の腸閉塞では本疾患も念頭におき無意味な手術を避けることが肝要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1386