突発したテタニー症状と前頸部出血で発症した副甲状腺腺腫の1例

突発した低カルシウム血症によるテタニー症状と前頸部の出血を生じて発見された副甲状腺腺腫の稀な1例を報告する.症例は3回の尿路結石の既往を有する58歳の男性で,四肢の痺れを主訴に他院を受診,低カルシウム血症の診断でカルシウム剤の投与を受けたが,その後,前頸部に出血斑を生じたため当院内科に紹介された. CTにて甲状腺左葉下極の背側に腫瘍陰影を認め, T1-201, Tc-99mによる副甲状腺シンチグラフィーで同部に集積を認めた.副甲状腺腫瘍の診断で当科へ紹介となり,小切開で副甲状腺腫瘍摘出術を施行した.病理学的診断ではヘモジデリンの沈着を伴った腺腫であり,腫瘍内出血が示唆された.経過中,血清カルシ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 6; pp. 1327 - 1330
Main Authors 岡田, 耕一郎, 応儀, 成二, 石黒, 清介, 伊藤, 則正, 鈴木, 喜雅, 池淵, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1327

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Summary:突発した低カルシウム血症によるテタニー症状と前頸部の出血を生じて発見された副甲状腺腺腫の稀な1例を報告する.症例は3回の尿路結石の既往を有する58歳の男性で,四肢の痺れを主訴に他院を受診,低カルシウム血症の診断でカルシウム剤の投与を受けたが,その後,前頸部に出血斑を生じたため当院内科に紹介された. CTにて甲状腺左葉下極の背側に腫瘍陰影を認め, T1-201, Tc-99mによる副甲状腺シンチグラフィーで同部に集積を認めた.副甲状腺腫瘍の診断で当科へ紹介となり,小切開で副甲状腺腫瘍摘出術を施行した.病理学的診断ではヘモジデリンの沈着を伴った腺腫であり,腫瘍内出血が示唆された.経過中,血清カルシウムは正常下限で推移し,リンは低値であった. intact-PTHは発症時は正常範囲内であったが,その後上昇傾向にあり,手術後に正常化した.副甲状腺腺腫は誘因もなく頸部出血の原因となることがあり,注意が必要である.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1327