CTにて術前診断しえた左傍十二指腸ヘルニアの1例

CTにて術前診断しえた,左傍十二指腸ヘルニア症例を経験したので報告する.症例は72歳女性.左上腹部痛のため平成11年5月3日午前1時当院内科に緊急入院した.保存的治療で軽快せず,同日午後1時当科に紹介された.紹介時,左上腹部に圧痛を伴う弾性軟な腫瘤を触知した.腹部CTでは境界明瞭な類円形のlow density massを認め,内部に小腸の集中を認めた.これらの所見から左側型傍十二指腸ヘルニアによる小腸嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.開腹時中等量の血性腹水と,暗赤色を呈した小腸を認めた. Treitz靱帯左側の結腸間膜に径約6cmの裂孔を認め,これをヘルニア門として約40cmの小腸が嵌頓し,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 6; pp. 1453 - 1456
Main Authors 吉田, 金広, 三好, 康敬, 村澤, 正甫, 岩坂, 尚仁, 坂東, 儀昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.06.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1453

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Summary:CTにて術前診断しえた,左傍十二指腸ヘルニア症例を経験したので報告する.症例は72歳女性.左上腹部痛のため平成11年5月3日午前1時当院内科に緊急入院した.保存的治療で軽快せず,同日午後1時当科に紹介された.紹介時,左上腹部に圧痛を伴う弾性軟な腫瘤を触知した.腹部CTでは境界明瞭な類円形のlow density massを認め,内部に小腸の集中を認めた.これらの所見から左側型傍十二指腸ヘルニアによる小腸嵌頓と診断し,緊急手術を施行した.開腹時中等量の血性腹水と,暗赤色を呈した小腸を認めた. Treitz靱帯左側の結腸間膜に径約6cmの裂孔を認め,これをヘルニア門として約40cmの小腸が嵌頓し,壊死を伴っていた.この部の小腸を切除し端々吻合し,ヘルニア門は縫合閉鎖した.傍十二指腸ヘルニアの診断に腹部CTは有用であり,早期に治療を行うためにもその所見は十分認識しておく必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1453