CDDPと5-FUの併用療法が奏効し長期生存が得られたびまん性腹膜悪性中皮腫の1例

びまん性腹膜悪性中皮腫は比較的稀な疾患とされ,極めて予後不良な疾患であり,長期生存例は稀とされている.今回,積極的な外科的治療と化学療法の組み合わせで長期生存が得られた症例を経験した.症例は44歳の女性で,腹部膨満感を主訴に1990年に当院外科を受診した.検査上,白血球およびCRPの上昇を認めた.腹部CTおよび注腸検査にて,腫瘤の上行結腸への浸潤像および腹水の貯留を認めた.結腸右半切除,大網切除および腹腔内散布チューブ造設術を施行した.術後, CDDP(腹腔内投与)および5-FU(静脈内投与)併用による化学療法を施行した. 1992年2月に腸閉塞により再開腹したが,生検にて腫瘍細胞の消失が確認...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 8; pp. 2038 - 2042
Main Authors 野間, 秀歳, 今村, 芳郎, 前田, 昭三郎, 小倉, 修
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2005
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2038

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Summary:びまん性腹膜悪性中皮腫は比較的稀な疾患とされ,極めて予後不良な疾患であり,長期生存例は稀とされている.今回,積極的な外科的治療と化学療法の組み合わせで長期生存が得られた症例を経験した.症例は44歳の女性で,腹部膨満感を主訴に1990年に当院外科を受診した.検査上,白血球およびCRPの上昇を認めた.腹部CTおよび注腸検査にて,腫瘤の上行結腸への浸潤像および腹水の貯留を認めた.結腸右半切除,大網切除および腹腔内散布チューブ造設術を施行した.術後, CDDP(腹腔内投与)および5-FU(静脈内投与)併用による化学療法を施行した. 1992年2月に腸閉塞により再開腹したが,生検にて腫瘍細胞の消失が確認された. 1994年8月に吻合部再発を認め,再手術・化学療法(CDDPおよび5-FU)を施行した. 1996年3月に右腹直筋内に再発し,化学療法(CDDPおよび5-FU)を施行するが, 12月に悪液質にて死亡した.びまん性腹膜悪性中皮腫は予後不良な疾患とされているが,自験例においては5年11カ月の長期生存が得られた.積極的な外科療法と化学療法の組み合わせにより延命効果が得られる可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2038