CTガイド下生検で確定診断した骨盤内子宮内膜症の1例

骨盤内に巨大腫瘤を形成イレウスにて発症した子宮内膜症の1例を経験した.症例は48歳の女性.腹部膨満を主訴として近医入院し,直腸腫瘍によるイレウスとの診断で人工肛門造設術を施行され,精査加療目的にて当院入院となった.腹部CTおよびMRI検査にて直腸を中心に径11cm大の腫瘤が存在し,子宮・第3~5仙椎・左梨状筋への浸潤を認めた.大腸内視鏡検査では全周性の狭窄を伴う結節状の直腸腫瘍を認め,直腸あるいは婦人科領域の悪性腫瘍が疑われた.しかし内視鏡下生検では悪性所見は認められず, CTガイド下生検を行い子宮内膜症と確定診断された.現在,婦人科外来にて投薬治療中である.イレウスを引き起こす女性の骨盤内腫...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 4; pp. 1122 - 1126
Main Authors 加藤, 一喜, 新井, 竜夫, 竜, 崇正, 白井, 芳則, 杉藤, 正典, 谷山, 新次, 小野, 正人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.04.1998
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1122

Cover

More Information
Summary:骨盤内に巨大腫瘤を形成イレウスにて発症した子宮内膜症の1例を経験した.症例は48歳の女性.腹部膨満を主訴として近医入院し,直腸腫瘍によるイレウスとの診断で人工肛門造設術を施行され,精査加療目的にて当院入院となった.腹部CTおよびMRI検査にて直腸を中心に径11cm大の腫瘤が存在し,子宮・第3~5仙椎・左梨状筋への浸潤を認めた.大腸内視鏡検査では全周性の狭窄を伴う結節状の直腸腫瘍を認め,直腸あるいは婦人科領域の悪性腫瘍が疑われた.しかし内視鏡下生検では悪性所見は認められず, CTガイド下生検を行い子宮内膜症と確定診断された.現在,婦人科外来にて投薬治療中である.イレウスを引き起こす女性の骨盤内腫瘤に対しては直腸癌や卵巣癌などの悪性腫瘍以外に子宮内膜症も念頭においた診断が必要であり,内視鏡下生検で確定診断が得られない場合はCTガイド下生検も試みて良い方法であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1122