大網原発デスモイドを内容とした鼠径ヘルニアの1例

非常に稀な大網原発デスモイドが鼠径ヘルニアの内容として発症した1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性. 67歳時に前立腺癌に対し前立腺全摘術を施行され当院泌尿器科通院中,右鼠径部に手拳大の膨隆を認め当科に紹介された.膨隆部は全体的に軟であったが,内部に3cm大の弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査では腹腔内から内鼠径輪を通り陰嚢に達する脂肪の脱出とその内部に2.5×2.5cm大のisodensityな腫瘤像を認め,非還納性鼠径ヘルニアの診断で手術を行った.ヘルニア内容は大網であり,大網原発の白色腫瘤を伴っていた.脱出した大網と腫瘤を切除し,メッシュプラグ法を行った.腫瘤は組織学的にデス...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 9; pp. 2215 - 2219
Main Authors 辰巳, 満俊, 北東, 大督, 岡山, 順司, 久下, 博之, 小川, 護仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2006
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.2215

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Summary:非常に稀な大網原発デスモイドが鼠径ヘルニアの内容として発症した1例を経験したので報告する.症例は70歳,男性. 67歳時に前立腺癌に対し前立腺全摘術を施行され当院泌尿器科通院中,右鼠径部に手拳大の膨隆を認め当科に紹介された.膨隆部は全体的に軟であったが,内部に3cm大の弾性硬の腫瘤を触知した.腹部CT検査では腹腔内から内鼠径輪を通り陰嚢に達する脂肪の脱出とその内部に2.5×2.5cm大のisodensityな腫瘤像を認め,非還納性鼠径ヘルニアの診断で手術を行った.ヘルニア内容は大網であり,大網原発の白色腫瘤を伴っていた.脱出した大網と腫瘤を切除し,メッシュプラグ法を行った.腫瘤は組織学的にデスモイドであった.大網原発デスモイドは本邦では2例が報告されているのみである.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.2215