同時性肝転移を認めた空腸gastrointestinal stromal tumorの1例

同時性肝転移を認めたgastrointestinal stromal tumor (GIST)の1切除例を報告する.症例は, 48歳の女性で,下腹部膨満感,嘔気を主訴に来院.腹部超音波検査で肝腫瘍および上腹部腫瘍を指摘された.精査の結果,空腸粘膜下腫瘍,肝転移と診断.空腸部分切除術,リンパ節郭清術,肝右葉切除術を施行した.免疫組織化学的検索にて, c-kitおよびCD34陽性, S-100蛋白陰性, α-SMA陰性の空腸GIST, uncommitted typeであった.現在術後12カ月無再発生存中である. GISTは消化管自律運動のペースメーカーであるCajarの介在細胞由来の腫瘍とされ,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 66; no. 9; pp. 2199 - 2204
Main Authors 辰巳, 満俊, 岡山, 順司, 中辻, 直之, 杉原, 誠一, 堀川, 雅人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2005
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.66.2199

Cover

More Information
Summary:同時性肝転移を認めたgastrointestinal stromal tumor (GIST)の1切除例を報告する.症例は, 48歳の女性で,下腹部膨満感,嘔気を主訴に来院.腹部超音波検査で肝腫瘍および上腹部腫瘍を指摘された.精査の結果,空腸粘膜下腫瘍,肝転移と診断.空腸部分切除術,リンパ節郭清術,肝右葉切除術を施行した.免疫組織化学的検索にて, c-kitおよびCD34陽性, S-100蛋白陰性, α-SMA陰性の空腸GIST, uncommitted typeであった.現在術後12カ月無再発生存中である. GISTは消化管自律運動のペースメーカーであるCajarの介在細胞由来の腫瘍とされ,その発生には, c-kit遺伝子の突然変異が関与している可能性が示唆されている.今回,自験例を含め,検索しえた空腸GIST本邦報告例51例の中で,肝転移治療例は7例と少なく,稀な症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.66.2199