101歳の胃癌手術症例
私共は101歳の胃癌症例に対して手術を施行しえたので報告する.症例は101歳10カ月の男性で,主訴は下血.平成14年5月7日よりタール便を認め, 5月9日当科受診.上部消化管内視鏡にて,胃体中部小彎に出血を伴う2型の腫瘍を認め入院となった.生検では低分化腺癌であった.入院時高度の貧血を認め,輸血により貧血は一時改善したが,一週間後には再度の貧血の進行を認めた.精査の結果,クレアチニンクリアランス36ml/min,心電図で完全右脚ブロックと左脚前枝ブロック, UCGにて左室壁の軽度の肥厚,大動脈弁の逆流と軽度の狭窄を認める以外に特に異常なく耐術可能と判断し, 6月6日全麻硬麻併用下開腹胃局所切除...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 9; pp. 2144 - 2148 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.09.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.2144 |
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Summary: | 私共は101歳の胃癌症例に対して手術を施行しえたので報告する.症例は101歳10カ月の男性で,主訴は下血.平成14年5月7日よりタール便を認め, 5月9日当科受診.上部消化管内視鏡にて,胃体中部小彎に出血を伴う2型の腫瘍を認め入院となった.生検では低分化腺癌であった.入院時高度の貧血を認め,輸血により貧血は一時改善したが,一週間後には再度の貧血の進行を認めた.精査の結果,クレアチニンクリアランス36ml/min,心電図で完全右脚ブロックと左脚前枝ブロック, UCGにて左室壁の軽度の肥厚,大動脈弁の逆流と軽度の狭窄を認める以外に特に異常なく耐術可能と判断し, 6月6日全麻硬麻併用下開腹胃局所切除術を施行した.術後経過は2PODに一時的にせん妄状態みられた以外には特に問題なく23PODには軽快退院した. 100歳以上の開腹手術症例の本邦報告例では,本症例は15例目であった.文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.2144 |