胆嚢転移を伴った食道原発悪性黒色腫の1例
症例は68歳男性,心窩部不快感を主訴に来院した.内視鏡検査にて胸部下部食道に腫瘍を認め,生検にて低分化扁平上皮癌と診断された.胸部食道全摘,および術後胆嚢炎予防のために胆嚢摘出術を施行.腫瘍は肉眼的に一部黒色調を呈する4.0×3.5cm大の2型腫瘍で組織学的に悪性黒色腫と診断された.胆嚢にも3mm大のポリープ様病変を認め転移と診断された (pT2N2M1, pStage IVb). 他に原発巣を認めなかったことから食道原発と考えられた.術後化学療法を施行したが大動脈周囲リンパ節および肝転移が出現し,術後5カ月で死亡した.食道原発悪性黒色腫は稀な疾患で,その予後は極めて不良である.また悪性黒色腫...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 9; pp. 2321 - 2325 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.09.2000
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.61.2321 |
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Summary: | 症例は68歳男性,心窩部不快感を主訴に来院した.内視鏡検査にて胸部下部食道に腫瘍を認め,生検にて低分化扁平上皮癌と診断された.胸部食道全摘,および術後胆嚢炎予防のために胆嚢摘出術を施行.腫瘍は肉眼的に一部黒色調を呈する4.0×3.5cm大の2型腫瘍で組織学的に悪性黒色腫と診断された.胆嚢にも3mm大のポリープ様病変を認め転移と診断された (pT2N2M1, pStage IVb). 他に原発巣を認めなかったことから食道原発と考えられた.術後化学療法を施行したが大動脈周囲リンパ節および肝転移が出現し,術後5カ月で死亡した.食道原発悪性黒色腫は稀な疾患で,その予後は極めて不良である.また悪性黒色腫の胆嚢転移は極めて稀で,本邦報告例は3例にすぎず,食道原発例の報告はない.胆嚢転移を伴った食道原発悪性黒色腫の切除例を報告し若干の文献的考察を加えた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.61.2321 |