壁側胸膜外膿瘍ドレナージにて治癒した薬剤性食道潰瘍穿孔の1例

症例は73歳の男性.突然の胸背部痛を主訴に近医受診し,吐血も認めたため,精査目的にて当院紹介入院となった.緊急内視鏡検査にて下部食道右壁に露出血管を伴う潰瘍を認めたため,止血術を施行.翌日の内視鏡検査にて止血は確認されたが,潰瘍底に気泡の発生を認めたため,食道潰瘍穿孔と診断された.内視鏡で逆流性食道炎の所見は認めず,食道潰瘍の既往歴や飲酒習慣もなかった.ただ受診3日前に急性上気道炎の診断で,近医にて投薬(抗生物質,非ステロイド抗炎症薬:以下NSAID) を受けており,この男性は水分摂取に薬を服用する習慣があったため,食道内に長時間残存した内服薬が原因で食道潰瘍を生じ,穿孔したものと考えられた....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 9; pp. 2275 - 2278
Main Authors 斉藤, 誠, 三角, 俊毅
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.09.1998
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Summary:症例は73歳の男性.突然の胸背部痛を主訴に近医受診し,吐血も認めたため,精査目的にて当院紹介入院となった.緊急内視鏡検査にて下部食道右壁に露出血管を伴う潰瘍を認めたため,止血術を施行.翌日の内視鏡検査にて止血は確認されたが,潰瘍底に気泡の発生を認めたため,食道潰瘍穿孔と診断された.内視鏡で逆流性食道炎の所見は認めず,食道潰瘍の既往歴や飲酒習慣もなかった.ただ受診3日前に急性上気道炎の診断で,近医にて投薬(抗生物質,非ステロイド抗炎症薬:以下NSAID) を受けており,この男性は水分摂取に薬を服用する習慣があったため,食道内に長時間残存した内服薬が原因で食道潰瘍を生じ,穿孔したものと考えられた.保存的治療にて経過観察中,壁側胸膜外膿瘍を認めたため, CTガイド下ドレナージ術を施行し,その後治癒退院となった.薬剤性食道潰瘍穿孔とその保存的治療について,若干の考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2275