Short segment Barrett's esophagusに発生した早期食道癌の1例

症例は44歳,男性.胸やけを主訴に近医受診.上部消化管内視鏡検査で下部食道の病変を指摘され,当科紹介入院となった.食道透視では下部食道に長さ約1 cmほどの壁の硬化像および隆起性病変を認めた.内視鏡検査では下部食道に高さ約1 cmの鋸状の発赤粘膜を認めた.その一部に径1 cm弱の発赤した軽度の隆起性病変を認め,同部の生検により,高分化腺癌と診断された.以上よりshort segment Barrett's esophagus (SSBE)に発生した早期食道癌と診断し,非開胸にて下部食道および噴門側胃切除術を施行した.切除標本では,不正に入り込んだ最長約1 cmの発赤した食道粘膜を認め...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 5; pp. 1103 - 1107
Main Authors 出石, 邦彦, 石村, 健, 唐澤, 幸彦, 合田, 文則, 臼杵, 尚志, 前田, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2003
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Summary:症例は44歳,男性.胸やけを主訴に近医受診.上部消化管内視鏡検査で下部食道の病変を指摘され,当科紹介入院となった.食道透視では下部食道に長さ約1 cmほどの壁の硬化像および隆起性病変を認めた.内視鏡検査では下部食道に高さ約1 cmの鋸状の発赤粘膜を認めた.その一部に径1 cm弱の発赤した軽度の隆起性病変を認め,同部の生検により,高分化腺癌と診断された.以上よりshort segment Barrett's esophagus (SSBE)に発生した早期食道癌と診断し,非開胸にて下部食道および噴門側胃切除術を施行した.切除標本では,不正に入り込んだ最長約1 cmの発赤した食道粘膜を認め,最長部に隆起性病変を認めた.病理組織学的には,食道下端にBarrett上皮を認め,その一部で粘膜筋板にまで達する大きさ12×7 mmのIIa+IIc型の高分化腺癌(ly 1, v0, n0)を認めた.退院後, 2年後の現在まで再発は認めていない. SSBEに発生した食道癌は近年注目を集めており,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1103