80歳以上高齢者の消化器手術症例の検討

1985年から1999年までの15年間に行われた80歳以上の高齢者の消化器外科手術102例に対し手術成績を検索し,その問題点について検討した.高齢者102例中,循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,等の基礎疾患を合併した患者は55例(53.9%)であった.術後合併症は, 36例(35.3%)に認められ,術後譫妄,呼吸器合併症,循環器合併症が多く見られた.次に,高齢者胃癌,大腸癌の特徴を検討する目的で, 60歳台の胃癌208例,大腸癌107例と比較した.術前合併基礎疾患は60歳台の胃癌,大腸癌でも多く見られたが,術後合併症は高齢者で有意に多かった.高齢者には術後高率に合併症が認められたが, 102例中...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 1115 - 1120
Main Authors 山木, 健一郎, 小坂, 錦司, 井上, 雅文, 妙中, 直之, 西村, 重彦, 吉川, 和彦, 安芸, 敏彦, 森本, 真人, 榎本, 準, 良河, 光一, 河村, 哲雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2001
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.62.1115

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Summary:1985年から1999年までの15年間に行われた80歳以上の高齢者の消化器外科手術102例に対し手術成績を検索し,その問題点について検討した.高齢者102例中,循環器疾患,糖尿病,呼吸器疾患,等の基礎疾患を合併した患者は55例(53.9%)であった.術後合併症は, 36例(35.3%)に認められ,術後譫妄,呼吸器合併症,循環器合併症が多く見られた.次に,高齢者胃癌,大腸癌の特徴を検討する目的で, 60歳台の胃癌208例,大腸癌107例と比較した.術前合併基礎疾患は60歳台の胃癌,大腸癌でも多く見られたが,術後合併症は高齢者で有意に多かった.高齢者には術後高率に合併症が認められたが, 102例中93例(91.2%)は日常生活動作(ADL)の低下なく退院した.高齢者といえども,術式の選択を慎重に行い,術後管理を厳重に行えば,基礎疾患が認められる場合でも,手術による治療成績の向上が期待できると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.62.1115