小腸の多発狭窄に合併した真性腸石の1例

症例は70歳の男性で,呼吸苦,全身浮腫,食欲不振を主訴に来院した.入院時検査所見では低蛋白血症と脱水,高炭酸ガス血症を認めた.胸部X線検査では心肥大と肺気腫を認めた.腹部CT検査では拡張した小腸と小腸内に多数の結石様陰影を認めた.心不全,肺気腫による慢性呼吸不全,亜腸閉塞の診断で入院となった.絶食とIVH, 利尿剤により全身浮腫,心不全,高炭酸ガス血症は改善したが,亜腸閉塞は継続し,小腸内の結石様陰影も残存したため手術を施行した.手術所見はTreitz靭帯より肛側50cmの小腸に1カ所, 150cmより190cmの小腸に5カ所の狭窄を認めた.手術は50cmの部分の狭窄形成と, 150cmより1...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 67; no. 7; pp. 1576 - 1581
Main Authors 水崎, 馨, 斉藤, 英一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2006
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.67.1576

Cover

More Information
Summary:症例は70歳の男性で,呼吸苦,全身浮腫,食欲不振を主訴に来院した.入院時検査所見では低蛋白血症と脱水,高炭酸ガス血症を認めた.胸部X線検査では心肥大と肺気腫を認めた.腹部CT検査では拡張した小腸と小腸内に多数の結石様陰影を認めた.心不全,肺気腫による慢性呼吸不全,亜腸閉塞の診断で入院となった.絶食とIVH, 利尿剤により全身浮腫,心不全,高炭酸ガス血症は改善したが,亜腸閉塞は継続し,小腸内の結石様陰影も残存したため手術を施行した.手術所見はTreitz靭帯より肛側50cmの小腸に1カ所, 150cmより190cmの小腸に5カ所の狭窄を認めた.手術は50cmの部分の狭窄形成と, 150cmより190cm部までの部分の切除を行った.摘出標本では5カ所の輪状狭窄と23個の真性腸石を認めた.今回,自験例を含めた真性腸石の本邦報告例43例に若干の文献的考察を加えて報告した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.67.1576