早期胃癌と胆管嚢胞腺癌の同時性重複癌の1例

胆管嚢胞腺癌は非常に稀な疾患であり,それに胃癌を重複した症例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.近医で胃癌を疑われ,当院にて精査中に肝に嚢胞性腫瘤を認めた.嚢胞性病変は,腹部CT,超音波検査にて肝S4に25mm大であり,嚢胞の内腔には乳頭状に隆起した充実性部分を認めた.また, MRCPにて胆管との交通も認められた.画像診断上,胆管嚢胞腺癌を疑い,肝左葉切除術施行した.同時に胃癌に対しては,幽門側胃切除術施行した.肝嚢胞性病変の肉眼的所見では,被膜を有する単房性の嚢胞状腫瘤であり,その内腔は粘調な内容物で満たされていた.病理組織検査では,嚢胞内に異型胆管上皮細胞が乳頭状に増殖,充満してお...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 7; pp. 1766 - 1772
Main Authors 隈元, 謙介, 菅野, 浩樹, 八巻, 俊彦, 星野, 正美, 左雨, 元樹, 竹之下, 誠一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.2003
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1766

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Summary:胆管嚢胞腺癌は非常に稀な疾患であり,それに胃癌を重複した症例を経験したので報告する.症例は51歳,男性.近医で胃癌を疑われ,当院にて精査中に肝に嚢胞性腫瘤を認めた.嚢胞性病変は,腹部CT,超音波検査にて肝S4に25mm大であり,嚢胞の内腔には乳頭状に隆起した充実性部分を認めた.また, MRCPにて胆管との交通も認められた.画像診断上,胆管嚢胞腺癌を疑い,肝左葉切除術施行した.同時に胃癌に対しては,幽門側胃切除術施行した.肝嚢胞性病変の肉眼的所見では,被膜を有する単房性の嚢胞状腫瘤であり,その内腔は粘調な内容物で満たされていた.病理組織検査では,嚢胞内に異型胆管上皮細胞が乳頭状に増殖,充満しており,上皮細胞の重層化は軽度であるが配列に乱れを認め胆管嚢胞腺癌と診断された.胃病変は,印環細胞癌の粘膜内増殖を認めた.現在術後9カ月経過し,再発の兆候はない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1766