急性胃拡張に併発した肝内門脈ガス血症
症例は67歳,女性.精神分裂病で入院中であった.平成11年12月7日より腹満・腹痛と嘔吐がみられた.腸閉塞が疑われ当科を受診した.腹部単純X線で著明な胃拡張を認めた.腹部超音波で肝内に遠肝性に移動するhigh echoic lesionを認めた.腹部CTで肝外側区域に門脈内ガス(HPVG)を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃に多発するびらんを認めた.精神疾患に起因した摂食障害により,胃が急激に過伸展し,拡張とびらんを生じ,びらん部からガスが移行し, HPVGを形成したものと考えた.胃内容を吸引し,絶飲絶食とした.翌日の腹部超音波ではHPVGは消失していた.症状も消失したため退院した. HPVGは...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 7; pp. 1720 - 1724 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.07.2003
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.1720 |
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Summary: | 症例は67歳,女性.精神分裂病で入院中であった.平成11年12月7日より腹満・腹痛と嘔吐がみられた.腸閉塞が疑われ当科を受診した.腹部単純X線で著明な胃拡張を認めた.腹部超音波で肝内に遠肝性に移動するhigh echoic lesionを認めた.腹部CTで肝外側区域に門脈内ガス(HPVG)を認めた.上部消化管内視鏡検査で胃に多発するびらんを認めた.精神疾患に起因した摂食障害により,胃が急激に過伸展し,拡張とびらんを生じ,びらん部からガスが移行し, HPVGを形成したものと考えた.胃内容を吸引し,絶飲絶食とした.翌日の腹部超音波ではHPVGは消失していた.症状も消失したため退院した. HPVGは比較的稀な病態で,開腹術を要する予後不良の徴候と考えられてきた.しかしながら,腸管壊死を伴わない場合には必ずしも予後不良ではなく,治療方針の決定には常にHPVGの成因を推測し,不必要な開腹術を回避する必要があると思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.1720 |