重度の代謝性アシドーシスを呈した壊死型虚血性大腸炎の1例

壊死型虚血性大腸炎は稀な疾患であり,予後不良となることが多い.今回われわれは急激な発症を呈し,強度の代謝性アシドーシスがみられた壊死型虚血性大腸炎を経験した.症例は64歳,男性.腹痛を主訴に来院.緊急大腸内視鏡検査にてS状結腸の粘膜壊死を認め,同日緊急手術を施行した.腹水は少量認め(細菌培養:陰性), S状結腸に壊死性変化がみられた. S状結腸切除術および一時的人工肛門造設術(Hartmann手術)を施行した.病理検査ではS状結腸粘膜下の広範な出血,粘膜壊死,小血管における血栓を多数認め,壊死型虚血性大腸炎と診断した.術後9カ月現在,再発の徴候はみられていない.本疾患は死亡率が高いが本症例では...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 8; pp. 1956 - 1960
Main Authors 早川, 善郎, 岡田, 晋吾, 入野田, 崇, 貝塚, 広史, 目黒, 英二, 稲葉, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.2003
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.64.1956

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Summary:壊死型虚血性大腸炎は稀な疾患であり,予後不良となることが多い.今回われわれは急激な発症を呈し,強度の代謝性アシドーシスがみられた壊死型虚血性大腸炎を経験した.症例は64歳,男性.腹痛を主訴に来院.緊急大腸内視鏡検査にてS状結腸の粘膜壊死を認め,同日緊急手術を施行した.腹水は少量認め(細菌培養:陰性), S状結腸に壊死性変化がみられた. S状結腸切除術および一時的人工肛門造設術(Hartmann手術)を施行した.病理検査ではS状結腸粘膜下の広範な出血,粘膜壊死,小血管における血栓を多数認め,壊死型虚血性大腸炎と診断した.術後9カ月現在,再発の徴候はみられていない.本疾患は死亡率が高いが本症例では早期手術により救命しえた.このように壊死型虚血性大腸炎は早期診断,早期手術が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.64.1956