急性腹症にて緊急手術を施行した若年者腹部結核の2例
急性腹症を呈した腹部結核の2手術例を経験したので報告する.症例1は29歳,男性.右下腹部痛,発熱を主訴に来院.急性虫垂炎による回盲部膿瘍の疑いで緊急手術を施行した.回盲部腸間膜に径5cmの腫大したリンパ節を認め,切除した.病理組織学的には乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,結核リンパ節炎と診断した.症例2は28歳,男性,強い腹痛,嘔吐を主訴に来院.絞扼性イレウスの疑いで緊急手術を施行した. Treitz靱帯より約2mの回腸に高度の狭窄を示す輪状潰瘍を認め,小腸部分切除を施行した.病理組織学的には乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 9; pp. 2188 - 2192 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.09.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.2188 |
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Summary: | 急性腹症を呈した腹部結核の2手術例を経験したので報告する.症例1は29歳,男性.右下腹部痛,発熱を主訴に来院.急性虫垂炎による回盲部膿瘍の疑いで緊急手術を施行した.回盲部腸間膜に径5cmの腫大したリンパ節を認め,切除した.病理組織学的には乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,結核リンパ節炎と診断した.症例2は28歳,男性,強い腹痛,嘔吐を主訴に来院.絞扼性イレウスの疑いで緊急手術を施行した. Treitz靱帯より約2mの回腸に高度の狭窄を示す輪状潰瘍を認め,小腸部分切除を施行した.病理組織学的には乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,小腸結核と診断した. 2例とも抗結核薬による追加治療を施行した.本邦の結核罹患率はいまだに高く,若年者の急性腹症においても,鑑別診断として結核を念頭に置いた診療が必要であると思われる. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.2188 |