乳房温存療法後にPaget様再発をきたした1例

乳房温存療法の問題点の一つに,残存乳房における局所再発がある.今回われわれは乳房温存療法後にPaget様再発をきたした症例を経験したので報告する.症例は49歳,女性. 1997年1月頃より左乳房の腫瘤を自覚し,他院にて乳癌と診断され(T1aN0M0)乳房扇状部分切除術+腋窩郭清(Level I, II)が施行された.術後残存乳房に対し放射線療法が行われた. 1999年7月頃より左乳頭部のびらんと,さらには乳頭血性分泌も出現し, 1999年12月13日当院受診となった.触診上残存乳房に腫瘤は触知しなかったが乳頭擦過細胞診にてclass Vとの診断を得られ, Paget様局所再発と診断し,残存乳房...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 9; pp. 2127 - 2131
Main Authors 森, 敏宏, 亀井, 秀弥, 宮内, 正之, 蜂須賀, 丈博, 篠原, 正彦, 久野, 泰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.09.2002
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.63.2127

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Summary:乳房温存療法の問題点の一つに,残存乳房における局所再発がある.今回われわれは乳房温存療法後にPaget様再発をきたした症例を経験したので報告する.症例は49歳,女性. 1997年1月頃より左乳房の腫瘤を自覚し,他院にて乳癌と診断され(T1aN0M0)乳房扇状部分切除術+腋窩郭清(Level I, II)が施行された.術後残存乳房に対し放射線療法が行われた. 1999年7月頃より左乳頭部のびらんと,さらには乳頭血性分泌も出現し, 1999年12月13日当院受診となった.触診上残存乳房に腫瘤は触知しなかったが乳頭擦過細胞診にてclass Vとの診断を得られ, Paget様局所再発と診断し,残存乳房全摘術を施行した.術後2年経過した現在,再発の徴候はない.この様な再発形式は比較的稀ではあるが存在するため,常に念頭におき,早期に適切な治療を行うことが大切であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.63.2127