乳癌のホルモンレセプター測定におけるEIA法とIHC法の一致率と問題点

乳癌の内分泌療法における効果予測因子は癌細胞のホルモンレセプターの有無であり,真のレセプター状況を把握し,治療の選択を決定することが必要である.今回,乳癌手術症例で生化学的方法(EIA法)および免疫組織化学染色法(IHC法)でエストロゲンレセプター(ER)状況を判定した316例を対象に, EIA法とIHC法でのER陽性率と一致率を調べ,問題点を検討した. EIA法でのER陽性率は43%, IHC法では66%で,一致率は75%であった.硬癌,粘液癌などの細胞密度の低い組織型ではEIA法では偽陰性となる可能性が示された.また, ER陽性の正常乳管上皮の影響も考えられ,顕微鏡で直接癌細胞を確認できる...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 5; pp. 1161 - 1166
Main Authors 田尻, 孝, 坂元, 吾偉, 霞, 富士雄, 古川, 恵子, 秋山, 太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.05.2004
Subjects
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.65.1161

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Summary:乳癌の内分泌療法における効果予測因子は癌細胞のホルモンレセプターの有無であり,真のレセプター状況を把握し,治療の選択を決定することが必要である.今回,乳癌手術症例で生化学的方法(EIA法)および免疫組織化学染色法(IHC法)でエストロゲンレセプター(ER)状況を判定した316例を対象に, EIA法とIHC法でのER陽性率と一致率を調べ,問題点を検討した. EIA法でのER陽性率は43%, IHC法では66%で,一致率は75%であった.硬癌,粘液癌などの細胞密度の低い組織型ではEIA法では偽陰性となる可能性が示された.また, ER陽性の正常乳管上皮の影響も考えられ,顕微鏡で直接癌細胞を確認できるIHC法はEIA法よりも有用であった.今後, IHC法の判定基準の統一が必要であるが,過去にEIA法で陰性であった症例も,転移再発時には以前の手術時のパラフィン切片を用いてIHC法で再検査することによって,治療の選択肢が広がる可能性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.1161