肝悪性腫瘍と鑑別が困難であった肝inflammatory pseudotumorの1例
症例は62歳男性で, ALP高値と貧血で外来フォロー中に,腹部CTで尾状葉を中心に下大静脈に進展する4cm大の腫瘍を認めた. ERCPにて肝内胆管の不整を認め,血管造影では下大静脈の圧排狭窄像と奇静脈への側副路を認めた.進行肝内胆管細胞癌の疑いにて肝切除を行い,術中迅速病理に提出したところcholangiocellular carcinomaと診断された.しかし永久病理組織標本では腫瘍内に悪性所見はなく著明な線維結合織とリンパ球の浸潤を認め, sclerosing inflammatory pseudotumor (IPT) と診断された.非典型的な画像所見を呈し,診断が困難であった肝IPTの...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 4; pp. 1068 - 1072 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.04.1999
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.60.1068 |
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Summary: | 症例は62歳男性で, ALP高値と貧血で外来フォロー中に,腹部CTで尾状葉を中心に下大静脈に進展する4cm大の腫瘍を認めた. ERCPにて肝内胆管の不整を認め,血管造影では下大静脈の圧排狭窄像と奇静脈への側副路を認めた.進行肝内胆管細胞癌の疑いにて肝切除を行い,術中迅速病理に提出したところcholangiocellular carcinomaと診断された.しかし永久病理組織標本では腫瘍内に悪性所見はなく著明な線維結合織とリンパ球の浸潤を認め, sclerosing inflammatory pseudotumor (IPT) と診断された.非典型的な画像所見を呈し,診断が困難であった肝IPTの1例を経験した.また,本邦報告例にて下大静脈の圧排狭窄をきたした肝IPTの報告はなく稀なものと思われた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.60.1068 |