腸重積症で発症した回盲部アニサキス症の1例
腸重積の診断で手術を行った回盲部アニサキス症の1例を経験したので報告する.患者は47歳男性. 1999年12月10日,生の鮭,いくらなどを摂食し, 12月17日腹部の激痛にて当科に入院した.理学所見で腹部に著明な筋性防御を認めた.腹部CT, 注腸造影で腸重積症が疑われ,高圧注腸整復にて改善しなかったため, 12月17日緊急手術を施行した.開腹すると,回盲部に腫瘤を触知したため回盲部腫瘤による腸重積症と診断し,回盲部切除術を施行した.肉眼的所見では回盲弁が肥厚し, 2cm大の粘膜下腫瘍を認め,盲腸壁の硬化を認めた.病理組織学的検索では粘膜下にアニサキス虫体を認め,好酸球を中心に有する小異物肉芽腫...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 7; pp. 1668 - 1671 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.07.2001
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.62.1668 |
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Summary: | 腸重積の診断で手術を行った回盲部アニサキス症の1例を経験したので報告する.患者は47歳男性. 1999年12月10日,生の鮭,いくらなどを摂食し, 12月17日腹部の激痛にて当科に入院した.理学所見で腹部に著明な筋性防御を認めた.腹部CT, 注腸造影で腸重積症が疑われ,高圧注腸整復にて改善しなかったため, 12月17日緊急手術を施行した.開腹すると,回盲部に腫瘤を触知したため回盲部腫瘤による腸重積症と診断し,回盲部切除術を施行した.肉眼的所見では回盲弁が肥厚し, 2cm大の粘膜下腫瘍を認め,盲腸壁の硬化を認めた.病理組織学的検索では粘膜下にアニサキス虫体を認め,好酸球を中心に有する小異物肉芽腫を認めた.回盲部にアニサキスが迷入して好酸球性肉芽腫を形成し,この部が先進部となり腸重積症を引き起こしたものと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.62.1668 |