緊急手術で救命し得た肝動脈瘤破裂の1例
肝動脈瘤破裂によりショック状態となり,緊急手術にて救命し得た1例を経験したので報告する.症例は20歳,男性.平成8年3月4日,突然腹痛出現,ショック状態となり救急車で当科来院,緊急入院となり,腹部超音波検査,腹腔穿刺にて腹腔内出血を認め緊急手術となった.開腹時,固有肝動脈から左肝動脈に達する肝動脈瘤破裂と診断された.動脈瘤は切除,再建は困難で,破裂部を閉鎖縫合し,胃十二指腸動脈,総肝動脈を結紮切離し止血した.術後,肝不全をきたすこともなく順調に経過し4月23日退院となった. 腹部内臓動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂後緊急状態で発見されると重篤であることが多い.原因不明の腹腔内出血症例では,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 61; no. 6; pp. 1515 - 1519 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.06.2000
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.61.1515 |
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Summary: | 肝動脈瘤破裂によりショック状態となり,緊急手術にて救命し得た1例を経験したので報告する.症例は20歳,男性.平成8年3月4日,突然腹痛出現,ショック状態となり救急車で当科来院,緊急入院となり,腹部超音波検査,腹腔穿刺にて腹腔内出血を認め緊急手術となった.開腹時,固有肝動脈から左肝動脈に達する肝動脈瘤破裂と診断された.動脈瘤は切除,再建は困難で,破裂部を閉鎖縫合し,胃十二指腸動脈,総肝動脈を結紮切離し止血した.術後,肝不全をきたすこともなく順調に経過し4月23日退院となった. 腹部内臓動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂後緊急状態で発見されると重篤であることが多い.原因不明の腹腔内出血症例では,本疾患の可能性を考慮し,迅速に治療法の選択を判断することが重要である. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.61.1515 |