高齢化地域における大腸癌症例の現状

老年人口比率が22.4%と高齢化の著しい淡路島地域の中核施設における大腸癌症例に検討を加えた.最近11年間に経験した大腸癌手術症例は766例で手術症例の平均年齢は67.3歳であった.うち70歳以上症例は334例(43.6%)で, 80歳以上高齢者も121例(15.8%)と地域の高齢化を反映し,高齢者症例が多く見られた.このうち緊急手術を要した症例がイレウス113例(14.9%)・穿孔33例(4.3%)・その他3例の計149例(19.5%)と多く, 70歳未満15.5%, 70歳代20.2%, 80歳以上33.9%と高齢者ほど緊急手術の比率が高かった.大腸癌の組織学的病期は最近では比較的早期の症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1736 - 1742
Main Authors 梅木, 雅彦, 松田, 昌三, 橘, 史朗, 中島, 幸一, 木花, 鋭一, 隠岐, 公二, 喜多, 泰文, 小山, 隆司, 八田, 健, 大藪, 久則, 栗栖, 茂, 柴田, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.1998
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Summary:老年人口比率が22.4%と高齢化の著しい淡路島地域の中核施設における大腸癌症例に検討を加えた.最近11年間に経験した大腸癌手術症例は766例で手術症例の平均年齢は67.3歳であった.うち70歳以上症例は334例(43.6%)で, 80歳以上高齢者も121例(15.8%)と地域の高齢化を反映し,高齢者症例が多く見られた.このうち緊急手術を要した症例がイレウス113例(14.9%)・穿孔33例(4.3%)・その他3例の計149例(19.5%)と多く, 70歳未満15.5%, 70歳代20.2%, 80歳以上33.9%と高齢者ほど緊急手術の比率が高かった.大腸癌の組織学的病期は最近では比較的早期の症例の比率が増加し,大腸早期癌内視鏡的切除症例も295例となっていたが,今なおstage IV症例が10%以上,また80歳以上高齢者では24.8%と高率にみられるのが現状であった.手術による死亡は70歳未満0.7%, 70歳代1.8%, 80歳以上4.1%であり,術後5年生存率は70歳未満67.4%, 70歳代64.8%, 80歳以上44.8%と, 70歳未満と70歳代ではほとんど変わらず, 80歳以上では手術による死亡・長期予後ともに不良であったが, 80歳以上といえども大腸癌手術症例の約半数が5年生存するという成績であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1736