巨大な原発性十二指腸癌の1例
今回,比較的稀とされる原発性十二指腸癌を経験した.症例は46歳,女性.主訴は上腹部痛で病悩期間はごく短く,黄疸もなかった.画像診断では十二指腸下行脚に全周性,内腔の保たれた腫瘍でbiopsyは管状腺癌であった.手術は膵頭十二指腸切除を行い,術後も順調であった.切除新鮮標本は8.8×9.3cm, 固定標本で8.6×5.7cmと本邦報告例中最大級であった.病理所見は腫瘍は中分化管状腺癌であり,膵に浸潤していたが胆管, Vater乳頭,幽門輪には及んでなく,所属リンパ節にも転移はなかった.当症例は定期的に経過観察され,手術3年2カ月後甲状腺癌が発見され,術後3年7カ月の甲状腺切除の際,腹部画像精査の...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 62; no. 8; pp. 1899 - 1904 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
日本臨床外科学会
25.08.2001
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | 今回,比較的稀とされる原発性十二指腸癌を経験した.症例は46歳,女性.主訴は上腹部痛で病悩期間はごく短く,黄疸もなかった.画像診断では十二指腸下行脚に全周性,内腔の保たれた腫瘍でbiopsyは管状腺癌であった.手術は膵頭十二指腸切除を行い,術後も順調であった.切除新鮮標本は8.8×9.3cm, 固定標本で8.6×5.7cmと本邦報告例中最大級であった.病理所見は腫瘍は中分化管状腺癌であり,膵に浸潤していたが胆管, Vater乳頭,幽門輪には及んでなく,所属リンパ節にも転移はなかった.当症例は定期的に経過観察され,手術3年2カ月後甲状腺癌が発見され,術後3年7カ月の甲状腺切除の際,腹部画像精査の機会を得たが,十二指腸癌の再発所見はなく,膵頭十二指腸切除後4年6カ月の現在も無再発生存を得ている. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.62.1899 |