腫瘤形成性膵炎の4例

われわれは,腫瘤形成性膵炎の4例を経験したので,うち2症例を供覧し,若干の考察を加えて報告する.症例1は, 54歳の男性で閉塞性黄疸を伴う膵頭部癌の疑いにて入院した.腹部US・EUS・ERCPで特徴的な画像を認め,腫瘤形成性膵炎と診断しえた.症例2は, 53歳の女性で,膵腫瘍の疑いにて入院した. EUS・ERCPで腫瘤形成性膵炎と診断した.当科で経験した4例について,これらの特徴をふまえたうえで検討したところ,最も診断に有用であったのは, ERCPであり,次にUS・EUSであった. CT・血管造影で診断がやや困難であった理由として, CTでは病変と周囲膵の濃染の程度を客観的に評価することが困難...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 60; no. 8; pp. 2197 - 2201
Main Authors 林部, 章, 阪本, 一次, 十倉, 寛治, 竹林, 淳, 浅田, 健蔵, 鬼頭, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.08.1999
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.60.2197

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Summary:われわれは,腫瘤形成性膵炎の4例を経験したので,うち2症例を供覧し,若干の考察を加えて報告する.症例1は, 54歳の男性で閉塞性黄疸を伴う膵頭部癌の疑いにて入院した.腹部US・EUS・ERCPで特徴的な画像を認め,腫瘤形成性膵炎と診断しえた.症例2は, 53歳の女性で,膵腫瘍の疑いにて入院した. EUS・ERCPで腫瘤形成性膵炎と診断した.当科で経験した4例について,これらの特徴をふまえたうえで検討したところ,最も診断に有用であったのは, ERCPであり,次にUS・EUSであった. CT・血管造影で診断がやや困難であった理由として, CTでは病変と周囲膵の濃染の程度を客観的に評価することが困難であり,血管造影はhypovascular (膵癌)とisovascular (腫瘤形成性膵炎)の鑑別にやや不向きであるためと考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.60.2197