PTP (press through package)による回腸穿孔の1例

Press through package (PTP)は現在薬包として本邦で広く用いられているが,消化管異物としての問題も生じている.今回われわれはPTP誤飲による回腸穿孔症例を経験した.自験例を含む報告例16例の集計を加え報告する.症例は75歳,男性で平成9年7月19日より黒色便を認め, 7月21日より下腹部痛が出現した. 7月22日汎発性腹膜炎の診断のもと緊急開腹術を行い回腸末端に穿孔部を認め回盲部切除を行った.切除腸管内の穿孔部にPTP (塩化カリウム製剤)の角が刺入していた. PTPの誤飲予防の啓蒙,投薬方法, PTPの形状,材質の工夫が必要であると考えられた.不注意による誤飲が多く,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 9; pp. 2310 - 2313
Main Authors 門野, 潤, 浜田, 信男, 石崎, 直樹, 渋谷, 寛, 田中, 紘輝, 平, 明
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.09.1998
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Summary:Press through package (PTP)は現在薬包として本邦で広く用いられているが,消化管異物としての問題も生じている.今回われわれはPTP誤飲による回腸穿孔症例を経験した.自験例を含む報告例16例の集計を加え報告する.症例は75歳,男性で平成9年7月19日より黒色便を認め, 7月21日より下腹部痛が出現した. 7月22日汎発性腹膜炎の診断のもと緊急開腹術を行い回腸末端に穿孔部を認め回盲部切除を行った.切除腸管内の穿孔部にPTP (塩化カリウム製剤)の角が刺入していた. PTPの誤飲予防の啓蒙,投薬方法, PTPの形状,材質の工夫が必要であると考えられた.不注意による誤飲が多く,精神状態の如何に関わらず高齢者の消化管異物の鑑別疾患として念頭に置く必要がある.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.2310