急性虫垂炎症状で発症した急性骨髄性白血病虫垂浸潤の1例
症例は65歳,女性.右下腹部痛,発熱のため当院受診.急性虫垂炎と診断し,腹部所見は軽度であり保存的治療を行い,症状はいったん軽快した.経口摂取を開始したところ症状再燃し, CTでは壁の肥厚した虫垂と盲腸壁に強い造影効果を認めた.白血球数も上昇したため手術を行った.虫垂は炎症が強く,盲腸壁は硬く腫瘤状であったため,悪性疾患も疑い回盲部切除術を施行した.切除標本は肉眼的に急性虫垂炎と思われた.術後,理学所見は改善したが,白血球数の異常な上昇と末梢血中に芽球を認め,病理組織学的に虫垂と盲腸壁に白血病細胞のびまん性浸潤を認め,骨髄生検を行い急性骨髄性白血病M2と診断した.虫垂炎を伴う白血病は稀であり,...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 64; no. 9; pp. 2203 - 2206 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.09.2003
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Subjects | |
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ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.64.2203 |
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Summary: | 症例は65歳,女性.右下腹部痛,発熱のため当院受診.急性虫垂炎と診断し,腹部所見は軽度であり保存的治療を行い,症状はいったん軽快した.経口摂取を開始したところ症状再燃し, CTでは壁の肥厚した虫垂と盲腸壁に強い造影効果を認めた.白血球数も上昇したため手術を行った.虫垂は炎症が強く,盲腸壁は硬く腫瘤状であったため,悪性疾患も疑い回盲部切除術を施行した.切除標本は肉眼的に急性虫垂炎と思われた.術後,理学所見は改善したが,白血球数の異常な上昇と末梢血中に芽球を認め,病理組織学的に虫垂と盲腸壁に白血病細胞のびまん性浸潤を認め,骨髄生検を行い急性骨髄性白血病M2と診断した.虫垂炎を伴う白血病は稀であり,更に虫垂炎症状を初発とした白血病は非常に稀である.本例では,虫垂根部の白血病細胞浸潤のため急性虫垂炎が惹起されたと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.64.2203 |