術後15年で肺転移をきたし胸腔鏡下に切除した乳腺粘液癌の1例

症例は60歳の女性である. 1980年8月,他院にて左乳腺粘液癌のため定型的乳房切除術を受けていた. 1995年7月,検診にて右肺野の異常陰影を指摘され当科紹介となった.胸部X線およびCTにて,右S9に径約2cmの境界明瞭な分葉状の腫瘤陰影を認めた.乳癌および腫瘍のマーカーはいずれも正常範囲内であった.乳癌の肺転移と原発性肺癌とが鑑別できず,胸腔鏡下手術を施行した.胸腔内を観察すると, S9の他にS2にも境界明瞭,灰白色で半透明な腫瘍を認めたため,両腫瘍に対して肺部分切除を施行した.術中迅速病理診断では,乳腺粘液癌の肺転移との診断であった.乳腺粘液癌は比較的予後良好とされているが,時に晩期再発...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1792 - 1795
Main Authors 応儀, 成二, 谷口, 雄司, 田中, 宜之, 伊藤, 則正, 石黒, 清介, 中村, 広繁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1792

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Summary:症例は60歳の女性である. 1980年8月,他院にて左乳腺粘液癌のため定型的乳房切除術を受けていた. 1995年7月,検診にて右肺野の異常陰影を指摘され当科紹介となった.胸部X線およびCTにて,右S9に径約2cmの境界明瞭な分葉状の腫瘤陰影を認めた.乳癌および腫瘍のマーカーはいずれも正常範囲内であった.乳癌の肺転移と原発性肺癌とが鑑別できず,胸腔鏡下手術を施行した.胸腔内を観察すると, S9の他にS2にも境界明瞭,灰白色で半透明な腫瘍を認めたため,両腫瘍に対して肺部分切除を施行した.術中迅速病理診断では,乳腺粘液癌の肺転移との診断であった.乳腺粘液癌は比較的予後良好とされているが,時に晩期再発がみられることがあり,長期にわたる注意深い経過観察が必要と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1792