左子宮広間膜の異常裂孔に生じた内ヘルニアの1例

子宮広間膜の異常裂孔に生じた内ヘルニアは非常に稀である.今回,われわれはその1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例は57歳女性.心窩部痛・嘔吐を主訴に受診.腹部X線で鏡面像を認め,イレウスの診断で入院となった.入院後,下腹部痛が出現,増強するため腹部超音波・CT検査が施行された.子宮体底部左側から直腸子宮窩に腸間膜および壁腫脹を伴う拡張した小腸像が捉えられた.小骨盤腔左側に原因のある絞掘性イレウスの診断で緊急手術を施行した.開腹すると左子宮広間膜に径4cmの異常裂孔が存在し,回腸が150cm嵌入した内ヘルニアであった.絞扼腸管を還納整復し,異常裂孔を縫合閉鎖して手術を終了した.本疾...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 59; no. 7; pp. 1893 - 1897
Main Authors 内野, 純一, 大森, 一吉, 南田, 猛, 木村, 純, 中村, 貴久, 品田, 佳秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 25.07.1998
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.59.1893

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Summary:子宮広間膜の異常裂孔に生じた内ヘルニアは非常に稀である.今回,われわれはその1例を経験したので文献的考察を加え報告する. 症例は57歳女性.心窩部痛・嘔吐を主訴に受診.腹部X線で鏡面像を認め,イレウスの診断で入院となった.入院後,下腹部痛が出現,増強するため腹部超音波・CT検査が施行された.子宮体底部左側から直腸子宮窩に腸間膜および壁腫脹を伴う拡張した小腸像が捉えられた.小骨盤腔左側に原因のある絞掘性イレウスの診断で緊急手術を施行した.開腹すると左子宮広間膜に径4cmの異常裂孔が存在し,回腸が150cm嵌入した内ヘルニアであった.絞扼腸管を還納整復し,異常裂孔を縫合閉鎖して手術を終了した.本疾患の術前診断において超音波検査・CT検査の有用性が示唆された.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.59.1893